
皆さんは、消費者契約法という法律をご存知でしょうか?クーリングオフできないときはこの法律が強い味方になってくれます。
消費者契約法とは、個人(事業のために契約を行うものは除く)と事業者との間で締結される契約(労働契約は除く)において、消費者の利益の擁護を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定された法律で、その適用範囲は特定商取引法に定められた商品に限らず、コンビニで雑誌を買ったような場合においても適用されます。
消費者契約法は、2001年4月1日以降に交わされたすべての消費者契約に適用されます。
以下の場合に消費者契約法で取り消すことができます。
法律では、追認(取消事由があることを消費者が知ってもなお、その契約を続けることを積極的に認めること)をすることができるときから6ヶ月間、契約締結のときから5年間と定められています。追認をすることができるときっていつからだよ? という方もいらっしゃるでしょうから、もう少し詳しく説明すると、追認をすることができるときとは、取消しの原因となっている状況がやんだときです。
例えば、誤認に陥って契約したときは、業者の説明が事実を違い、その説明のせいで誤認に陥っていたことに気づいたときから始まります。ただし、契約してから5年を経過しているときは、もう取消しできません。
困惑に陥って契約したときは、業者が帰ったり、消費者が帰ることができて、自由に行動することができるようになったときから始まります。
追認は業者に「契約をこれからも続けます」、「取消しはしません」などと伝えたときだけでなく、次のようなことをしたときにも、追認したことになってしまいます。
A・Bには特に注意が必要です。
取消しはクーリングオフと違い、相手に意思表示が到達したときに効果が発生します。通知を出すときは、いつ、相手に意思表示が届いたかを証明できるように、配達証明付内容証明郵便を利用した方がよいでしょう。
業者が、素直に応じてくれればよいのですが、「そんな事実はなかった」などといわれ、裁判にまでもつれ込むようなことになったら、こちらが、取消事由があったことを証明しなければいけません。ですから、業者からもらった説明資料は証拠になるかもしれないので、必ず保管しておくようにしましょう(どちらの言い分が正しいかを決めるのは裁判官ですから証拠がないからといって諦める必要はありませんが、あったほうがより有利なのは言うまでもありません)。
取り消した後は、契約がなかった状態に戻す必要があります。つまり、業者は代金を受け取っていれば返し、消費者は商品を受け取っていれば返す必要があります。ただし、クーリングオフのときは、商品の引き取りは業者の負担でしたが、消費者契約法による取消しのときは、消費者がその費用を負担しなければいけません。
商品を使用すると、それにより、消費者はいくらか利益を得ます。元に戻さなければいけないのですから、利益分は業者に返さなければいけないことになります。ただ、元々、業者のせいで契約する羽目になったわけですから、使った分の代金を払わなければいけないのかというと、そうでもないと思われます。この部分については結構難しい問題になりそうです。もめて裁判になるくらいなら、多少は妥協した方がよいかもしれません。
●未成年者取消し-未成年者(満20歳未満ただし婚姻しているものは除く)が、両親などの法定代理人の同意を得ずにした契約は、取消すことができます。ただし、小遣いや仕送りなど自由に処分することを許された財産の範囲内での契約は取消しできません。
●錯誤無効-契約の内容の重要な部分について、錯誤(勘違い)があり、勘違いだとわかれば、普通に考えて契約しないようなときは、その契約は無効となります。ただし、錯誤をした者に重大な過失があったとき(注意を著しく欠いていたとき)は無効を主張できません。
●詐欺取消し-相手にだまされて契約してしまったときはその契約を取り消すことができます。
●強迫取消し-相手に脅かされて、自由な意思決定をすることができずに契約してしまったときは、その契約を取り消すことができます。
●債務不履行による解除-業者が商品を引き渡さなかったり、約束した仕事を提供しないときは、商品の引渡しや仕事の提供を約束どおり行なうことを請求できます。それでも、業者が行なわない場合や行うことができなくなった場合は契約を解除できます。
●合意解除・解約-当事者同士の合意があれば、契約をやめることができます。単に支払が苦しいなどの自己都合の解約理由ではかなりの違約金を取られることを覚悟してください。